イベント会場での犯罪1

はじめに 

 コミックマーケット(コミケ)や、SUPER COMIC CITY(スパコミ)など大型イベントでは、犯罪が毎回のように発生しています。多数の参加者が来場することや、現金を扱うことなどから、当然犯罪も発生する可能性も高くなるわけですが、多いのは窃盗でしょうか。あと、暴行、傷害や脅迫、恐喝、痴漢行為(都道府県の迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪)もあるようです。また、直接犯罪にあたるかどうかは微妙ですが、ナンパやサークルに粘着する行為もみかけます。そのうえで、犯罪等を目的として来場する者もいるといわれています。
 その上で、ここでは、特に多い窃盗について言及したいと思います。なお、「2019.10.22 イベント会場での犯罪2」を追加しましたので、こちらもご覧ください。


イベント会場での窃盗

 頒布対象たる冊子やグッズ等の盗難もありますが、やはり多いのは金銭です。サークルや売り子の目を盗んで現金を盗むケースが多いようです(なお、会場内のスリもあるようです)。しかも、中堅から大手になると、万単位の額を扱うので被害額も相当なものになります。

 わたしはこれまで多くのサークルスペースを見ていますが、正直防犯意識が甘いといわざるを得ないサークルを、相当数見ています。犯人も、そうした防犯意識の甘いサークルを狙っているかもしれませんし、ひょっとしたらそれがリスト化されている可能性もあります。そして、犯人はもちろんのこと、イベント主催者や第三者は個別に注意をしないので(全体に向けてアナウンスする程度です)、実際に被害に遭うまで(被害に遭った後も)防犯意識が甘いことに気付かないケースがあります。

盗難予防について

 まず、金銭を第三者の目につくところに置かないことです。たまに、お釣りを渡す作業を効率化するために、硬貨を山積みにしてスペース上に置いているサークルがいますが、正直なところあまり望ましいとはとはいえないでしょう。お釣りを渡す作業を効率化させるのであれば、頒布物を渡す人と、現金を受け取る人で分離させるべきです(お釣りを渡す作業を効率化させる必要があるサークルは通常大手であり、大手であれば売り子を複数名配置させておくことができる)。
 
 その上で、現金はすべて肌身離さずもっておくことです。どうしても来場者が多くなると、目の前の来場者に神経を集中してしまい、現金から目を離してしまいます。犯人はそうした隙をついてくるので、必ず現金はカバンや簡易金庫等に保管の上、常に視界から外さないようにしましょう。

盗難被害に遭ったら

 現行犯でもない限り、まず犯人を捕まえることは困難です。特に、コミケやスパコミのような大型イベントだと、なお困難になるでしょう。しかし、それでも警察に被害届を提出してください。
 
 犯人は別のイベントで同様の窃盗行為をする可能性があります。手口が類似していれば、各イベントも警戒するでしょうし、そうなるとそのうち犯人が捕まる可能性も高くなります。イベントだけではありませんが、逮捕されて被疑者を取り調べたら余罪がたくさん出てくることがあり、そこで過去の窃盗被害について警察から連絡があったという例もあります。そのため、被害届を出していたら警察からの連絡がスムーズになることがあります。ただ、他の識別が困難な現金窃盗の場合、余罪の特定が困難ということはありますし、被害弁償できるだけの資力が犯人にない可能性もあります。ダメ元に近いかもしれませんが、一縷の望みに託して被害届は提出するようにしてください。
 
 また、イベント主催者にも連絡するようにしてください。今回の盗難はあきらめたとしても、そうした被害申告が増えれば、イベント主催者も警備強化するでしょう。警備強化によって、次回から安心して参加することができます。
(2019.07.15)
 

参照条文

刑法(明治40年法律第45号)
(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。


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