アミューズメントにおける景品・プライズ等の法律問題

都内アミューズメントカジノ6割が違法営業。「ウェブコイン」換金ルートが風営法違反の核心。パチンコとの扱いの違いは?
12月19日、東京都内のアミューズメントカジノ80店舗に対する警視庁の一斉立ち入り調査が実施され、6割の店舗で風営法違反が確認された。(2025年12月25(木)/日刊SPA!より引用 https://nikkan-spa.jp/2137560 )

カジノ・ギャンブル問題に関連して、近時ウィステリア・バンデル法律事務所に「パチンコがOKなのに、なぜ他ではダメなのか」という問い合わせが多く寄せられています。

その前提として、まずパチンコでの換金行為が賭博行為とされず、なぜOKとされているのかを解説します。なお、あくまで当事務所としての一般的な見解であって、弁護士、研究者その他法律家によって立場が異なることもあります。また、個別のスキーム、事情において、適法性を判断したものではありません。

まず、パチンコ店は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、「風営法」とします)第2条第1項第4号による風俗営業とされており、俗に4号営業と呼ばれています。他方で、アミューズその他ゲームセンターは同項第5号に規定されていることから、5号営業と呼ばれています。そしてパチンコ店については、風営法第19条、同法施行規則第36条第2項第1号イにより、「遊技の結果として表示された遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品」を賞品として提供することとされています。俗にいう「景品」です。

この景品は現金や有価証券であってはならず、さらにはパチンコ店が景品を買い取ることも禁止されています(風営法第23条第1項第1号、第2号)。すなわち、パチンコ店は方法は何であれ、現金等を客に提供することはできないということです。

他方で、景品自体の所有権はパチンコ店から客に移転しているため、客がその景品を誰に売却しようが本来は自由な行為です。そのため、その景品を買い取る業者が現れたとしても「形式的には」違法ではありません(ただし、古物営業法上の規制はあります)。それを問屋を通じて、最終的にパチンコ店に還流されていることから、一般に「三店方式」と呼ばれています。このような「形式論」で三店方式は一応は適法されているようです。

しかし、ご存じの通り、三店方式とかいったところで、実質的にはギャンブルです。現実にパチンコにより、財産を失い、破産等に至ったパチンコユーザーも少なくありません。ギャンブル依存症と呼ばれる人たちの中には、パチンコユーザーも多数存在します。そのような実態の中、どうしてパチンコの事実上換金行為(実質的なギャンブル)が容認されているのか。形式的な理由はさておき、一番大きな理由が、先に述べた風営法の枠内にあるからです。

パチンコ遊技機の仕様・スペックは行政の認可を受けなければなりません(風営法第4条第4項、第20条、同法施行規則第8条、遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則など)。特に、「著しく客の射幸心をそそるおそれがある」遊技機は設置が禁止されています(同法第20条第1項)。実務上は一般財団法人保安通信協会(一般的に「保通協」といいます)が検査業務を行っており、保通協の厳格な審査をクリアした遊技機のみパチンコ店に設置することが許されています。この基準も時代とともにうつりかわり、パチンコだと保留連やCR黎明期の確変2回継続時代、パチスロだと4号機時代を懐かしむユーザーもいらっしゃるかと思います(とはいえ、最近のラッキートリガーも爆発力はありますが)。

このようにパチンコについては、行政の厳格な規制があるため、「三店方式」による事実上のギャンブル行為も黙認されているといえるでしょう。

そうなると、風営法上の許可をとらず、あるいはこの枠内に入らない「三店方式」は違法であり、摘発の上処罰されることになります。ゲームセンターが5号営業として許可をとった場合でも、そもそも賞品(景品)の提供は禁止されているので(風営法第23条第2項)、三店方式の前提を欠くわけです。

他方で、プライズなどゲームセンターの形式をとりつつ、一定の景品を提供することが容認されていることがあります。そこで、警察による解釈基準「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施等の解釈運用基準」で1,000円以下の景品であればOKというルールができており、実際はこのルールに従って運営されています。

ここからが当事務所にもっとも問い合わせの多いところですが、それでは、この「景品(プライズ)」を換金する行為は適法なのでしょうか?実際にインターネットで検索すると、景品を買い取る業者は存在します。そして、パチンコと同様に、景品を買い取ることそれ自体は風営法の枠外の問題なので、ここまでは特に違法性はないように思えます。

しかし、パチンコのような4号営業と異なり、ゲームセンターのような5号営業は前提として、景品を提供することが禁止されていることから出発します。そうすると、景品提供がOKであることが「法律上」の前提であるパチンコの「三店方式」が、そのままゲームセンターに適用できるわけではありません。上記の解釈基準もそこまで容認したものではなく、また、保通協のような厳格な基準があるわけでもないので、「実質的に」景品提供者(ゲームセンターやアミューズメント)が買取店と通じており、景品及び現金の流れが一連のものとなっている場合には、違法と評価せざるを得ないところでしょう。単に形式的にゲームセンターと買取業者が別法人、別会計というだけでは足りず、「実質的に」金銭の流れが分断されている必要があります。この「実質的」というのがそれなりにハードルは高く、おそらくゲームセンターやアミューズメントの枠内でどれだけ形式をいじったとしても(人、ハコモノ、口座をわけていても)、「実質的」にギャンブルとみなされることになるでしょう。なお、経済産業省によると、オンラインのクレーンゲームは、実店舗・ゲーム筐体が存在しないことから、風営法による規制を受けないものとされています

これも当事務所で多く寄せられる質問ですが、じゃあパチンコが容認され、それ以外が違法な理由はなんなのかということです。それは、パチンコについては、厳格な規制、監督の目があり、こうした厳しい規制、監督の中であれば特に社会に対する影響は少ないだろうと考えられているのに対し、それ以外の場合は警察その他行政の規制、監督の目が行き届かないので、違法・摘発ということになるからです。

今後、オンライン・オフラインを問わず、こうしたギャンブル性のあるゲーム事業者が多く参入してくるでしょう。そして、参入者の中には三店方式を参考に、「形式」をいじればどうにかなるだろうと考えている者もいるようですが、捜査・司法機関は金銭の流れなど様々な要素から、「実質的」な組織性を重視します。そのため、当事務所としては、こうした参入について、わずかでも組織的換金性、実質的なギャンブル性があると判断した場合には、「形式を問わず」違法と判断しています。そして、当事務所では違法と判断したスキームに法律アドバイスを含め、助力等をすることは決してありません。

以上、ご相談の際は、上記を一読いただければ幸甚です。
(2025.12.26)

<参照条文>
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)
(用語の意義) 第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)・・・(他の各号、第2項以下 略)・・・

第四条第四項 第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)については、公安委員会は、当該営業に係る営業所に設置される遊技機が著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める基準に該当するものであるときは、当該営業を許可しないことができる。

(遊技料金等の規制) 第十九条 第二条第一項第四号の営業を営む風俗営業者は、国家公安委員会規則で定める遊技料金、賞品の提供方法及び賞品の価格の最高限度(まあじやん屋を営む風俗営業者にあつては、遊技料金)に関する基準に従い、その営業を営まなければならない。

(遊技機の規制及び認定等) 第二十条 第四条第四項に規定する営業を営む風俗営業者は、その営業所に、著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして同項の国家公安委員会規則で定める基準に該当する遊技機を設置してその営業を営んではならない。
2 前項の風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該営業所における遊技機につき同項に規定する基準に該当しない旨の公安委員会の認定を受けることができる。
3 国家公安委員会は、政令で定める種類の遊技機の型式に関し、国家公安委員会規則で、前項の公安委員会の認定につき必要な技術上の規格を定めることができる。
4 前項の規格が定められた場合においては、遊技機の製造業者(外国において本邦に輸出する遊技機を製造する者を含む。)又は輸入業者は、その製造し、又は輸入する遊技機の型式が同項の規定による技術上の規格に適合しているか否かについて公安委員会の検定を受けることができる。
5 公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、第二項の認定又は前項の検定に必要な試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)の全部又は一部を、一般社団法人又は一般財団法人であつて、当該事務を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして国家公安委員会があらかじめ指定する者(以下「指定試験機関」という。)に行わせることができる。
6 指定試験機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
7 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法その他の罰則の適用に関しては、法令により公務に従事する職員とみなす。
8 都道府県は、第二項の認定、第四項の検定又は第五項の試験に係る手数料の徴収については、政令で定める者から、実費の範囲内において、遊技機の種類、構造等に応じ、当該認定、検定又は試験の事務の特性を勘案して政令で定める額を徴収することを標準として条例を定めなければならない。
9 前項の場合においては、都道府県は、条例で定めるところにより、第五項の指定試験機関が行う試験に係る手数料を当該指定試験機関へ納めさせ、その収入とすることができる。
10 第九条第一項、第二項及び第三項第二号の規定は、第一項の風俗営業者が設置する遊技機の増設、交替その他の変更について準用する。この場合において、同条第二項中「第四条第二項第一号の技術上の基準及び」とあるのは、「第四条第四項の基準に該当せず、かつ、」と読み替えるものとする。
11 第四項の型式の検定、第五項の指定試験機関その他第二項の規定による認定及び前項において準用する第九条第一項の承認に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

(遊技場営業を営む者の禁止行為) 第二十三条 第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
二 客に提供した賞品を買い取ること。
三 遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物(次号において「遊技球等」という。)を客に営業所外に持ち出させること。
四 遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。
2 第二条第一項第四号のまあじやん屋又は同項第五号の営業を営む者は、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。
3 第一項第三号及び第四号の規定は、第二条第一項第五号の営業を営む者について準用する。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和六十年国家公安委員会規則第一号)
(著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準) 第八条 法第四条第四項の国家公安委員会規則で定める基準は、次の表の上欄に掲げる遊技機の種類の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるとおりとする。・・・(表、第2項以下 略)・・・




 

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