吸血鬼すぐ死ぬ2期

 再び失礼いたします。事務局のFSです。
相変わらず事務所に不定期に出没してもう1年半が経ちました。その間に「吸血鬼すぐ死ぬ」(以下「吸死」)2期の放映が始まりそして終わってしまいましたので、不肖ながら再び筆を執らせていただきました。
吸死2期、1期以上に視聴者を振り落とさんばかりのノリと勢いで驚きましたね。今期も爆笑、時には苦笑いしながら毎週楽しみに観ておりました。

 前回では吸死初のアニメという事もあり、各登場人物や舞台設定等を少しだけ丁寧に描写してくれていましたが、2期ともなると「皆さんはアニメの1期を観てからこの2期を観てる訳だよね?何なら2期が始まるまでに原作コミックスを買った人もいるよね??だったら当然このキャラクター達の名前や人物設定は覚えてるよね???」ぐらいの圧でぐいぐい話が進んでいきました。普通のアニメだったら2期の1話って「1期のおさらい」シーンがあるかと思うんですけど、吸死の場合はいきなり「ドラルク家出回」から始まるんですよ。1期を観てない視聴者からすれば「いやそもそも何で吸血鬼が吸血鬼ハンターの家で暮らしてるんだよ」って話だと思うんですけど、その辺の説明を全部すっ飛ばして1話目から主要人物の喧嘩回を持ってくる気概を受けて「よっぽど視聴者の『待ってました!』に応えたかったんだな……」と勝手に嬉しくなりました。
(あと細かいところで恐縮ですが、「もういい!信じられない!こんな事務所出て行ってやる!」と言って放映開始5分と経たないうちに事務所を家出(?)したドラルクに対して「アニメ1期の時点で出てけよボケが!」とロナルドがメタなツッコミを入れるシーンで笑ってしまいました。吸死の中毒性ってこの「秒で笑わせに来る」テンポ感なんじゃないかと思います。)
個人的に吸死2期は「声と動き(アニメーション)を付けて原作のこのシーン(話)が観たい!」というスタッフの欲望だけで作られたような狂k……熱意を感じます。前置きが長くなりましたが、今回はそんな「原作で見たいシーン美味しいとこどり」だった最終回について書きます。

 吸死2期は1期同様、アニメ1話で原作3話分が放映されます。最終話は「(前話からの続きの)ノースディン回 完結編」「新横浜の楽しいバカ野郎たち スペシャルver.」「新春コタツ十二問答(注:コミックス16巻に収録されている第195話)」という3話構成でした。
2期の最後にドラルクの師匠であるノースディン(CV:堀内賢雄)を出演させてくれたのも感激しましたし(2期も出番無しかと思ってました……!)、吸血鬼対策課やオータム書店や新横浜退治人組合(ギルド)や高等吸血鬼の面々が一堂に会する「新横浜の楽しいバカ野郎たち スペシャルver.」も観ていて楽しかったです。「楽しいバカ野郎たち」回は主要メンバーがとある温泉旅館に揃ってワイワイする回であり、クセが強すぎる各組織メンバーへのツッコミも”ほぼモブ吸血鬼”が一手に引き受けてくれるので、まるで吸死アニメの無礼講打ち上げを観ているような感覚でした。

そこまでは良かったんです。
でも吸死アニメ1期も観ていた皆さんは思い出していただきたい。

吸死製作委員会は2期制作決定のアナウンスが流れる前の1期最終話に「バカ5番勝負」という、おおよそ最終話に持ってくるようなものではない自由すぎるギャグ回を持ってくる人達でした。
最終回の、しかも最終話だからといって綺麗にまとまった終わり方をする訳がないんですよ(諦観)

「ヌヌヌ」以外にも「ヌオー(雄叫び)」「ヌシャヌシャ(咀嚼音)」「ヌリ(海苔)」と発音できる事から閃いたロナルドからのリクエストで「オシリ」と喋ってくれるジョン(アニメでは想像以上にしっかり発音してたので、図らずも爆笑してしまいました)、歌うとメロディが全て般若心経になるドラルク、お嬢様言葉で会話をするロナルドとドラルク、1期のオープニングの曲が流れる間だけトンチキな衣装で踊りだすロナルドとドラルク、等々……。
「新春コタツ十二問答」(コタツ回)は「これアニメで観たら絶対面白いけど尺とか盛り上がり的に採用されないだろうな」と思ってましたが、まさかのこれを最後の最後に持ってくるとは。ここで?とは思うかもしれませんが、私はここで制作委員会の皆様の作品愛をひしひしと感じました。

吸死1期は最終回の1つ前の回でドラルクとジョンの出会いと感動的な再会の話を描いておきながら、最終話に伝説の「バカ5番勝負」回を持ってくるという暴挙(※失言)に出ました。
しかしこの暴挙も既に2期の制作が確定していたからこそ出来た所業です。「続きがあるから、あえてうまくまとめて終わらせなかったんだ」と視聴者に安心させる要素としては充分でした。
しかし2期でもこのグダグダな終わり方よ。こんな終わり方なら「よもや3期もあるのでは……?」と期待してしまうではないですか。

数年後になっても構いません。伏して3期をお待ちしております!

(2023.04.14) 




一覧に戻る