字は丁寧に

 司法試験まで2か月を切り、各予備校で模擬試験が実施されています。私も毎年この時期は添削業務を行っており、受講生の答案を見るのが楽しみです。

 さて、司法試験に限らず論文答案の添削をしていますと、おおむね10通に1通くらいの割合で、「字が読めない」「判読できない」答案が出てきます。結論から言いますと、こういった「字が読めない」答案はそれだけで採点者の印象を悪くするだけでなく、誤解・誤読による思わぬ失点もあることから、すべてに優先して読める字を書くようにしていただきたく思います。
 つまり、「読めない」は「採点できない」と同義です。また、非常に読みにくい答案も、採点者にとってストレスがたまります。極論すると、「読めない(読みにくい)」答案は、自ら採点を受ける利益を放棄した、すなわち「合格する気のない」とみなされても文句は言えないということになります。なお、「読めない(読みにくい)字でも合格する」などと無責任なことを吹聴する受験指導講師等もいるようですが、少なくとも8000通以上採点した私が見た範囲で、読めない字で合格水準に達した答案は皆無に近いです。
 
 たかが形式面と軽視する受験生も少なくないようですが、上述のように不利益は想像以上大きいので、コメント等で指摘された方は、すべてに優先して字を直すようにしてください。思った以上に、採点者の印象は悪く、それだけで不合格になるリスクも高いということを肝に銘じてください。
(2019.03.19)


 

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