2019.11.03 成人向け(R18)同人誌について その1

はじめに 

 Twitterのほうでも、記事のリツイートがありますが、成人向け同人誌(いわゆるR18、以下、「R18」と表記します)の頒布について、どういうルールになっているか簡潔にまとめてみたいと思います。


R18と法規制について

 R18は同人誌特有のものではなく、商業誌であってもR18は存在します。そして、R18については、都道府県の青少年保護育成条例(以下、単に「〇〇都道府県条例」とします)によって規制の対象となっています。都道府県単位ですので、コミケなど東京ビックサイトであれば東京都の、コミックシティなどインテックス大阪であれば大阪府の条例が対象となります。そのため、まずは参加されるイベント開催地の都道府県を確認してください。

 たとえば、コミケなど東京の場合、図書類等の販売等及び興行の自主規制の規定がありますが、これは努力規定とされています(東京都条例第7条)。また、いわゆるR18と指定された図書類について販売等の制限があり(東京都条例第9条第1項)、所定の区分陳列等の義務が課されています(東京都条例第9条第2項、第3項)。しかし、これは同条例第8条によって個別指定された書籍が対象になるのであって、そうした指定がない書籍等については条例による規制の対象となりません。個別指定の場合、必ず告知や周知があるので(東京都条例第8条第2項、第3項)、個別指定の告知等がない同人誌は個別指定がないという扱いになるわけです。

 他方で、大阪の場合包括指定が存在します(大阪府条例第13条第2項)。包括指定は個別指定(大阪府条例第13条第1項)と異なり、条文上の要件に当たる場合、告知等がなくても条例による規制の対象となるわけです(大阪府条例第14条第1項、第15条第1項など)。違反すると、大阪府知事より勧告(大阪府条例第15条第2項)、措置命令(大阪府条例第15条第5項)、罰則規定も存在します(大阪府条例第56条第1号、第2号)。なお、勧告等や罰則については、東京都であっても同様です(東京都条例第9条の3、第18条第1項、第25条)。

 このように、開催される都道府県で条例規制の態様が異なりますので、ぜひ一度確認しておいてください。

図書類販売業者等について

 東京都条例だと「図書類販売業者等」(東京都条例第9条第1項)、大阪府条例だと「図書類取扱業者」(大阪府条例第14条第1項)による頒布等が規制の対象となっています(それ以外は努力義務)。ここでいう「図書類販売業者等」とは、「図書類の販売又は貸付けを業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関して図書類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者」をいい、「図書類取扱業者」とは、「図書類の販売、貸付け又は閲覧し、若しくは視聴させることを業とする者」をいいますが、サークル参加者がこれらにあたるのでしょうか。
 多くのサークルは同人誌を有償頒布していますので、「販売」にあたりますが、「業とする者」といえるかどうかが問題となります。

 一般論として「業とする者」にあたるかどうかは、反復継続性や事業性などを要素として検討します。コミケは年に2回ですし、コミックシティなどょあわせても、参加できてせいぜい年10回くらいではないでしょうか(もちろん、全国津々浦々、毎週のようにどこかのイベントに参加している強者もいるようですが)。また、趣味で執筆・頒布している同人作家さんが多く、印刷費や参加費で赤字になるサークルも少なくありません。そうなると、そのイベントのみで収入の大半を占めるといった大手壁サークルや、専業の同人作家でもない限りは、反復継続性や事業性がないという解釈もありえるところでしょう。もっとも、委託販売や通販などを行えば、反復継続性を認める要素になりえます。
 これについて、裁判例等は見当たりませんでしたが、イベント参加の回数、頒布数、売上額、委託販売や通販の利用等、総合的に個別具体的な事案に応じて判断されるのではないでしょうか。

 続きます。

 


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